Eternal Party 2015 準々決勝 丹羽昴貴(大阪)vs加藤晃彦(愛媛県)

text by Seigo Nishikawa

8回戦という予選ラウンドを潜り抜け、選び抜かれた8人の精鋭。まだまだ休むことを許されない彼らであるが、疲れた様子など一切見せない。むしろすぐそこまで迫った王者の席に意気揚々の面持ち。



「カウンターバーン」という言葉の響きに感じるものがあるのではないか。激しさの赤と冷静な青、まるで相反するかのような2色の呪文が絡み合い戦い抜くそのアーキタイプに取り付かれそこから抜け出すことのできないプレイヤーは数多い。丹羽もそんな赤青の魅力に取り付かれた一人である。paleのハンドルネームで、ここKMCのサイトで「【デッキ解説】Counter-Burnの入り口」という記事を寄稿しており、ご覧になられた方も多いかもしれない。今回も愛機カウンターバーンを携え、初戦は惜しくも破れるがそこから怒涛の7連勝。見事2位で予選を突破している。

一方の加藤は愛媛県からの参戦。ROUND8のバブルマッチを、Game1では30分にわたる長時間の戦いも緊張感を失うことなく切り抜け、かと思えばGame2では電光石火の攻め手を見せるという硬軟自在のプレイング。会場最大メタとなった奇跡コントロールを使用し、予選は堂々の7位通過。

現在のレガシーの王道とも言える奇跡コントロールに対して、必ずしもメタ上に挙がるとは言い切れないカウンターバーンの一戦。だが両者に共通しているのは丹羽・加藤が自信を持って作り上げたデッキだということだ。コントロール同士のぶつかり合いは、果たしてどちらに軍配が上がるのか。

Game1
予選上位の丹羽は《Volcanic Island》でゲームを開始すると、加藤は《島》から《思案》。確認した3枚はすぐにシャッフル。実は土地1枚でゲームを開始している加藤。この《思案》で土地を引き込むことができない。

丹羽は《渋面の溶岩使い》を送り出し《ミシュラの工廠》をセットすることで第2ターンを終了。それに対して無事《平地》を手に入れた加藤は、即座に《剣を鍬に》を当てていく。丹羽の《ミシュラの工廠》での攻撃も《剣を鍬に》で弾き飛ばす。

加藤は第3ターンに土地を引けず、第4ターンもそれは続いたのだが、その代わりに待望の《師範の占い独楽》をドロー。丹羽の《対抗呪文》を《Force of Will》することで、一先ず土地への渡りを付けることに成功。

丹羽は《ミシュラの工廠》を置くと、少し考え4マナをタップ。丹羽から提示されたのは


《焦熱の合流点》!

全国1000万のカウンターバーン使いを盛り上がらせた統率者2015の新顔は、加藤から一度に6点ものライフを奪い取る。こういったカードを使っていけるのも、レガシーの大いなる魅力といってよいのではないだろうか。

それでも致命的なダメージは蒙っていないだけに、まだまだ加藤のライフは猶予がある。丹羽の《ミシュラの工廠》対して、都合3枚目の《剣を鍬に》を使用すると、ようやく3枚目の土地を発見。流れも良い方向に変わり始め、ここを失ってはならないと《相殺》をキャスト。

これを通してしまうと、一気に逆転されかねない丹羽。「うーん」と悩むと、《相殺》に割り込んでまずは《稲妻》を1発。そしてそれを加藤が通すのを見て、更に2発目の《稲妻》を発射。

これに対して、《相殺》が解決されたものだと判断してしまった加藤は、《稲妻》を打ち消すべく《師範の占い独楽》をタップしてしまうのだが、その実は上記のとおり。一瞬苦い表情を浮かべる加藤。

戻してしまった《師範の占い独楽》を加藤が引き戻したところで、丹羽は《噴出の稲妻》をキッカーを込めてキャストする。加藤はこの場合の《噴出の稲妻》のコストが1であることを念のために確認すると《渦まく知識》で、引いたばっかりの《師範の占い独楽》を再びライブラリートップへ戻す。

《師範の占い独楽》をここで置けなかったことを悔やむ加藤ではあるが、それ以上に苦しそうな表情なのは丹羽。ぎりぎりのところでミスをカバーした加藤は、改めて続くターンに《僧院の導師》と《師範の占い独楽》を繰り出し、反撃開始の狼煙を上げる。

《師範の占い独楽》《相殺》が決まってしまった上に、加藤から2枚目の《師範の占い独楽》が提示されると、これが師範の教えを授けるたびに、一人ずつ集結していく修道僧。

丹羽が抵抗として《精神を刻む者、ジェイス》を出すものの、加藤は《渦まく知識》。十分な土地が無かっただけに、手札にずっと抱えることになった同じカードをライブラリートップに戻す。それを公開することで、丹羽の抵抗の意思をへし折った。

丹羽 0-1 加藤

Game2
丹羽は《島》《ミシュラの工廠》とセットすると《行き詰まり》。これに考え込む加藤だが、《ミシュラの工廠》が出ている以上、放置して長期戦というプランを取るわけにもいかず《Force of Will》で返す。

丹羽がフルタップしたいまがチャンスと加藤は《相殺》をキャスト。2マナの強力なエンチャントの置き合いは、加藤に軍配が上がる。

それでも《相殺》だけであるならば、まだまだ丹羽が諦めるようなものではない。《霧深い雨林》《島》と置くと、再びの《行き詰まり》をキャスト。それに対応して相殺を発動させようとする加藤は《渦まく知識》。その後ライブラリーのトップを捲ろうとしたところで、丹羽から「待った」の声。

丹羽から《もみ消し》が飛ぶ。だが加藤は《狼狽の嵐》を見せるという完璧な対応を見せ付ける。

加藤は今再び《僧院の導師》で勝負を決めにいく。

だが丹羽もまだまだ終わらない。《精神を刻む者、ジェイス》を通すことに成功すると、手札が2枚の加藤を見て、《僧院の導師》の反撃ではまだ死なないだろうと、これをバウンスするのでは無く占術の力を使用。

加藤は《渦まく知識》をキャスト。まずは果敢+1.

ここが勝負の山になるか。

《渦まく知識》で引き込んだ3枚を前に熟慮にふける加藤。結果そこでみえた《師範の占い独楽》をセットし、果敢+2。

そして《相殺》をキャストすると見事に果敢+3。土地をフルタップにしてでも《精神を刻む者、ジェイス》を打ち倒す。

苦しそうな表情を浮かべる丹羽。エンド宣言以外にできることが無い。

加藤は、自信のメインフェーズに《師範の占い独楽》を使用すると、その3枚目に眠っていたカードと《師範の占い独楽》を交換する。変わりに加藤の手に入ったカードは《渦まく知識》。流れるように《師範の占い独楽》が加藤の手を経由し、戦場へと舞い戻る。


その都度《僧院の導師》は高らかに声を上げ……丹羽はデッキを片付けることとなった。

丹羽 0-2 加藤

「メンターを一番強く使えると思ったので」その言葉を実証するかのように独楽捌きを見せ付けた加藤が、見事に準決勝へと進出を果たした。

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